今回特集するのは、いま最も注目すべきと言っても過言ではないUSボルチモア発の5人組、Angel Du$tです。
ハードコア・パンクバンドとしての確固たるキャリアを持つメンバーたちが鳴らしているのは、スケートパンク、インディー、サーフロックといったサウンドをもごちゃまぜにした、懐かしくも新しい独自のロックサウンド。
これでもか!というほど楽しそうな彼らのポジティブなバイブスを、是非この夏のBGMに加えてください。
まずは最新アルバム『Pretty Buff』より、お気に入りのMVを2つ。
タフなのにコミカルでキャッチー、そして溢れ出る犬への愛。
問答無用で元気になってしまいます。

Angel Du$tは、USモダンハードコアの重鎮TRAPPED UNDER ICEのフロントマンであるJustice Trippを中心に、2013年に結成されました。
また、Coachella Festival 2019に出演し、昨年の初来日も大いに話題となったTurnstileのDaniel Fang等も在籍するという、この時点でかなりタレント性の高いバンド。
USモダンハードコアの中でも、独自のアプローチとライブの異常な熱量で絶大な人気を誇るTurnstile。

Angel Du$tは2013年に「Extra Law」EPでデビュー以来、これまでに3枚のアルバムをリリース。


当初よりBAD BRAINSやMiner Threatのようにファストなハードコア・パンクサウンドを基調としつつも、Misfitsのようなキャッチーさや、ガレージなどの要素も感じさせるまさにハイブリッド・パンクスタイル。
MVを意欲的に制作しているのも嬉しいところで、遊び心が満載です。
そしてアルバムを経るごとに、より好き勝手なオルタナティブさを発揮していきます。
最新作『Pretty Buff』ではついに、スーパーキャッチーな方向に完全転換。
しっとり歌い上げ、アコギで疾走したり、タンバリンやカウベル、サックスも登場。
90年代アメリカでアイドル的人気を博したポップ・ロックバンドのレモンヘッズ(The Lemonheads)を彷彿とさせるスウィートっぷり。が、根底にあるのはハードコアなのでドラムなど所々タフだったり疾走感があるのもグッときます。
ものすごくセンスフルなやりたい放題です。(笑)

兎にも角にも、超楽しそうなのが印象的な彼ら。
本作からは名門・Roadrunner Records(SlipknotやTurnstileも在籍)に移籍していますが、かつてないほどにポップでトリッキーなリリースとなったことでしょう。
今年2月には、故Lil Peepも所属していたGOTHBOICLIQUEで活動するWicca Phase Springs Eternalと共にツアーを回ったよう。
彼もエモトラップのアーティストながら以前はTigers Jawというバンドで活動していたこともあり、エモ/インディーの名門レーベルRUN FOR COVERからリリースしています。
こういった新しい流れは本当に面白いなあと思いますし、尖った音楽性を突き詰めるのももちろんクールですが、成熟したのちまた違ったベクトルで好きにやり、良質な作品をリリースすることも、同じくらい素晴らしいことではないでしょうか。
自由なエネルギーとキラキラした力強さをめいっぱい感じさせてくれる彼ら。次はどんな音を聴かせてくれるのか、今後も目が離せません。
<Top image via KERRANG!>
<The other image via UPROXX>
<References REVOLVER,STEREOGUM,KERRANG!,NME>
by Dai Nakasara